※この記事は2016年10月17日付のタイヤ新報に掲載されたものです。

 

はじめに

 

 先月、東京ビッグサイトで行われた国際物流総合展に出展していたタイヤ専業店がある。愛知県名古屋市の「栄タイヤ」さんがそのお店。

 本紙でも6年前に一度訪問、社長の山田浩次さんは愛知県タイヤ商工協同組合の副理事長を務められており、先日行われた70周年記念式典でも表彰されていた。トラック・バス用タイヤを中心に港湾地区で安定した需要を確保し、リフト用の特殊タイヤ輸入に取り組み、販売にさらに手ごたえを感じているというお話だった。

 特殊タイヤ販売の道を開いたのは弟の進次さんで、「また取材に来ますか?それならスケジュールを開けておきましょう」とのことで、早速名古屋港にほど近いお店にお伺いすることにした。

 

栄タイヤ商会①栄タイヤ写真4面

店内にも、倉庫にもふんだんに特殊タイヤの在庫が。フル回転で発送する「栄タイヤ株式会社」

 

特殊タイヤが好調

 

―特殊タイヤの輸入販売を行われているお店は全国的にも珍しいと思いますが、なぜこの商売を始められたんですか?

 

 「三菱重工の大型シャシーラインの仕事を担当させてもらっていたんですが、工場移転でそれがなくなったため、何か新しい事をやらなければ…と思っていたときに専務がこの仕事を見つけて来てくれたんです。」

 

―専務はどうして特殊タイヤに注目されたんですか?

 

 「もう今から20年以上前になりますが、トレルボルグ社がスリランカに工場を作って、非常にローコストでタイヤを造れるということで、やってみないかという話がありまして、将来ニッチな市場として面白くなるんじゃないかと思ったのがきっかけです。大きな出資もともないましたが、コマツの純正品に採用されたのが良かったですね。それから手応えを感じるようになりました。」

 

―特殊タイヤでは主にどんな製品を扱っていますか?

 

 「トレルボルグ社、コンチネンタル社の産業車両用タイヤを輸入販売し、タイのサラブリ県には我々が共同出資した工場があり、そこで2005年からパワートラックスというリフト用のタイヤを製造し、輸入販売しています。モールドも造っております。ノーパンクタイヤの需要が伸びていますが、ここ1年くらい取り組んでいる飛行場でタラップに使用するタイヤや、港湾作業用タイヤの需要も好調です。」

 

―そうですか、モールドまで…。特殊タイヤというのはトラック・バス用と比較して利益的にどうなんですか?

 

 「収益性はいいですが倉庫代など経費が掛かります。うちも倉庫は3か所ありますよ。安定したお客様と供給のスムーズさ、営業マンの新規開拓の努力、細かい注文に応えるスタッフの熟練度など、いろんなノウハウが必要です。」

 

―簡単に真似できるものではないんですね。

 

 「そうですね。特殊タイヤを扱い始めた当初は言葉や文化の違いにいろいろ苦労しましたよ。ジャパニーズ・イングリッシュで意思疎通を図るんですが、品質も最初は悪かった。ワイヤに針金を使っているのでゴムになじまず、すぐ剥がれてしまうんですね。そこで品質向上のため技術供与をずいぶんやり、我々もタイヤメーカーの工場を見に行ったりして勉強しました。モールド製造をはじめ、大きな出資もしてきました。今では品質がとても良くなり、中国はじめ新興国もこの分野に参入してきていますが、我々の品質には追い付いてないですね。」

 「販売すると同時に我々は特殊タイヤ、ホイールメーカーでもありますから、そこは対応力という点でちょっとは行けると思っています(笑)。でも、本当に隙間産業でたまたまこれまではうまく回ってきたというのが正直な実感ですよ。」

 

栄タイヤ商会②山田写真4面

「隙間産業に取り組んで、幸運にもこれまでうまく回っています」と語る山田浩次社長(右)、進次専務

 

ノーパンクタイヤのメリット

 

―ノーパンクタイヤはエア入りと比べてどんなところがいいんでしょうか

 

 「寿命が約3倍長いことや空気圧管理やパンク修理などのメンテナンスが要らないこと、空気入りに比べてタイヤの変形が少ないので車両の安定度も上がります。」

 

―なるほど。リフト市場でノーパンクとエア入りと、比率にすると何対何くらい?

 

 「ノーパンクが8割くらい占めていると思います。それから、これは我々の仕事にとって利点なんだけどノーパンクタイヤは交換に緊急性がないんですね。空気入りだと急いで交換しないと車両が動けなくなるからえらい事でしょう?ノーパンクですと対応するのにある程度時間的に余裕があるので幅広いお客様に対応できます。」

 

―6年前はトラック・バス用6割、特殊タイヤ4割というお話でしたが、現在はどうでしょう

 

「逆転して特殊タイヤ6割、トラック・バス用4割になりました。」

 

―特殊タイヤの需要が伸びているんですね。これからの目標を。

 

 「トラック用の需要は半径5キロ圏内ですが特殊タイヤは全国から注文が来ます。この分野をこれからも強みにしたいですね。それにもちろんこの冬、雪は降ってほしい。クリスマス、ジングルベルの時にも我々はひたすらタイヤ交換ですよ。 (笑)今年も大変だけどやるんでしょうね。」

 

まとめ

 

 今から20年以上も前に全く新しい仕事に挑戦。多くの時間をかけ投資を行い、見事に実らせた山田社長、専務の決断と実行力は素晴らしいというほかない。  作業場、事務所の従業員の皆様も皆生き生きとして、ホワイトボードには全員の仕事の予定がびっしり入っており、明るい雰囲気の職場であることがすぐにわかった。  まだまだ伸びるお店だ。 (木本 浩央)

 

店舗概要

 

▽代表取締役社長 山田浩次 

▽専務取締役 山田 進次

▽顧問 伊藤 正夫

▽住所 〒455-0832 愛知県名古屋市港区宝神5丁目801

▽電話 052-383-0214

▽FAX 052-383-3900

※主力のトラック・バス用で名古屋港の需要を確保してきたが、特殊タイヤに20年以上前から取り組み、現在売り上げが逆転している。自社でも商品開発するメーカーとしての顔を持つ。あま市に七宝店、神奈川県厚木市に営業所がある。