※この記事は2015年6月1日付のタイヤ新報に掲載されたものです。

 

はじめに

 

 今回訪れたのは静岡県静岡市の「日野口ゴム工業所」だ。9年前に取材させていただいた時は、ちょうど日野口智彦代表がお店を継いだ時だった。

 その後、時代の変化にお店はどのように対応してきたのか。お話を伺った。

 

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お店にはダンロップの看板が掲げられているが他にも多くのブランドを取り扱う

 

お店の概要

 

―お店を創業されたのはいつなんですか?

 

 『昭和23年と聞いています。私で4代目になります』

 

―長い歴史のあるお店なんですね。日野口さんがお店を継がれたのはいつ頃ですか?

 

 『34歳の時でした。前職はサラリーマンをしていました。元々お店を継ぐ気はあったので、特に抵抗は感じませんでしたね』

 

―社長として実際にお店を切り盛りされてみてどんな実感がありますか?

 

 『誰かがやらなきゃいけない仕事なので、やればやっただけお客様の信頼が得られて、またそれが次の商売に繋がっていくという充実感はあります。量販店やネット販売など、苦しい要素もありますが、誰かがやらなければいけない仕事だと思いますし、この商売自体はなくならないと思います』

 

―新品タイヤを販売されるお店なんですね

 

 『そうですね。売上の8割がTB/LT用タイヤです。ほとんどが法人のお客様ですね』

 

―個人のお客様はいらっしゃらないんですか?

 

 『あまりいないですね…。店構え的にPCを販売していると思われないみたいです。一応見えるようにラックに飾ってはいるんですが…。もっと宣伝やホイールをバーンと並べたりすれば、入ってくるのかなあ、とは思いますが…現状では特に対策はしていません』

 

―小売でこれだけ長い間お店を経営することができているポイントは何なんでしょう?

 

 『お客様に認めてもらえているかどうか、というところだと思います。ただし、そこに甘んじてしまうのも良くないですね。世の中の移り変わりとともに、お客様の考え方も変わっていくので…。最近の傾向としては、相手の顔を見て「ありがとうね」と対話するより、事務的にきちっと処理していくことが求められているのかなというのは感じますね…』

 

―新品タイヤを売っていて上がりが少ないと感じることはありますか?

 

 『お客様もネットで最安値を調べてくるので、だんだん昔より上がりが取りにくくなっているのが現状です。法人のお客様と取引をするにしても、ちゃんと市場の価格を自分でチェックしないといけません』

 

―そういった状況のなかでお店ではどのような取り組みを?

 

 『売値が決まっている以上、あとは仕入れ値を交渉するしかないですよね。販売会社とは、パートナーとしてお互いに協力しあっていくことが大切です』

 

―たくさんのブランドのタイヤを扱っていますよね

 

 『看板には大きく「DUNLOP」と掲げていますが、ひとつのブランドしか扱わないとなると、選択肢が限られてしまう。メーカーによって作られていないサイズもありますので、ブランドはたくさん扱ったほうがいいと私は思いますね』

 

お店の強みと弱み

 

―お店の強みを教えてください

 

 『強みというか今後もお客様からしっかり信頼を得られるように努力していくことが大事ですよね。いい加減なことをして信頼を失うとお客様は逃げていってしまうので、従業員の接客にも気を使うようにはしています』

 

―どんなところに気をつけていますか?

 

 『自分がいなくてもお店が回るようになるとベストですね。現場を任せられるようにしたい。私がいない時に何か問題があった場合も適切に対処できるようにさせたいと思っています』

 

―では、お店の弱みはどうでしょう?

 

 『さっきも言いましたが、個人のお客様への販売力が弱いんですよね。組合のウェブサイトを経由して電話をいただいたこともありますし、販売機会を逃さないようにしていきたいですね』

 

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「お客様の信頼が大事」と語る日野口氏

 

業界に求めること

 

―業界・メーカーに求めることなどありましたら教えてください

 

 『「商品力」ですかね。メーカーはどこも他社との差別化を図るために、低コストで高品質な商品の開発に力を注いでいますよね。実際、企業努力もそこにかかっているんだと思います。ただ、コストを抑えればどうしても品質に跳ね返ってくる。どんなにしっかりしている企業でも人間が設計しているものなので、時々心配になることもあります。今後、魅力的な商品がさらに増えると嬉しいですね』

 

工賃のあり方

 

―持ち込みの依頼はよく来ますか?

 

 『最近は来ないですね。だからガレナビも登録していないですね。持ち込みの場合は通常の倍の料金を頂いています』

 

―お店によっては工賃を低めに設定するところもありますが…

 

 『人にできないことをやっているわけですし、工賃はちゃんと取った方がいいと思います。空気充てんもちゃんと講習を受けないとできないわけですからね』

 

―なるほど。国内市場の先細りがよく言われていますが、それを踏まえて、これからの工賃のあり方についてはどう思われますか?

 

 『業界全体で考えないといけない問題だとは思いますね。リース会社の車両にしても、タイヤの交換・メンテンスも含めて、かなり安い価格でパッケージされている。長いものに巻かれて、安い工賃で泣く泣く作業を代行せざるを得ない、というお店も今後増えていくと思います。だからこそ、お店だけではなく、業界全体で足並みを揃える必要があるんだと思います』

 

店舗概要

 

▽代表 日野口智彦(47)

▽住所 〒424-0942 静岡市清水区入船町1-1

▽TEL 054-353-2444

▽販売構成 トラックバス用80、トレーラー用10、乗用車用10

※小売100%、ダンロップをメインに様々なメーカーのタイヤも扱う。清水港のすぐそばに位置し、顧客のほとんどが港湾関係