※この記事は2016年10月3日付のタイヤ新報に掲載されたものです。

 

ネットの評判が◎

 

 今回訪ねたお店は、東京都杉並区の浜田山にあるタイヤステーション浜田山(㈱鈴木タイヤ商会)。

 杉並区の中西部に位置する浜田山は、今や高級住宅街だ。閑静な住環境が整備され、商店街は活発で明るい。渋谷や新宿など都心へのアクセスもしやすい上、クルマは日本一ポルシェやBMWが売れる街としても知られている。

 井の頭通り沿いに立派な外観のお店を構えるタイヤステーション浜田山は、一体どんな経営をしているのだろうか。

 取材前にインターネットでお店の名前を検索してみると、利用したユーザーの感想がいくつかヒットした。

 「数ヶ月前にベンツのタイヤ交換をしたのを覚えてくれていて調子を心配してくれた」「予定より早く装着が終り、帰り道を聞いた時もとても良くしてくれた」「すべておまかせして安心」

 どれも好評価だ。

 

鈴木タイヤ商会1

お店の外観

 

大らかな人柄

 

 インタビューに応じてくれたのは、代表取締役社長の鈴木孝宜(すずき・たかのり)さん。取材をお願いした当初は気乗りしない様子だったが、「写真に写らなくていいのなら……」という条件付でなんとかオッケーを頂いた。

 鈴木さんは先代である父から事業を引き継いだ二代目の店主。

 鈴木さんの第一印象は「おだやか」。とにかく柔らかな物腰でお話をされる方で、その印象は取材中も終始変わることはなかった。むしろ、こちらの方がリラックスしてしまいそうになるほどの大らかさだった。

 「企業は人なり」という言葉があるが、ネットの評判も頷ける。

 

地域密着の取り組み

 

 同社は今年で創業54年。事業を始めた当時は見渡す限り畑だった浜田山も、今日では杉並区で指折りの高級住宅街へと変貌を遂げた。

 それに伴い、客層もTBからPCへと徐々に移り変わっていったが、鈴木さんは「今でも長い付き合いをしてくれているお客様は多い」と話す。

 「お店の立地の運が良かったんだと思います。そうした長く付き合ってくださる運送会社さんがいらっしゃる一方で、ポルシェやBMWなど近所のディーラーさんからのお仕事も頂けています」

 こうした豊かな経営環境の背景には、もちろん、鈴木さんの地道な取り組みがある。

 「地域密着というとカッコイイんでしょうけど……。町内会の会長をやったり、お祭りなどの行事にも積極的に参加して、地域の方々との交流を深めるようにしています。そこで出来た繋がりのお客様はまた別のお客様を紹介してくれるので、大事にしていますね」

 

鈴木タイヤ商会2

創業当初の浜田山の様子

 

ユーザー趣向の変化

 

 その一方、鈴木さんは「持ち込み依頼で来店するお客様はどうしても次に繋がりにくいように感じる」とも話す。

 「忙しい時期は受け入れを断るようにしていますが、いざ受け入れてみると、やはり次の来店には仲々繋がりにくいですね。ここ数年で持ち込みの依頼は増えたようにと思いますけど、もしかしたらもうやらないかもしれません」

 鈴木さんに最近のユーザーの趣向を聞くと「二極化している」という回答が返ってきた。

 「予算に余裕があるお客様は高性能で高品質のタイヤを買われますけど、その中間のグレードのタイヤは売れなくなってきていると思います。高いか安いのかどちらかですね」

 

お店の強みと悩み

 

 杉並区の保有台数は年々減少傾向にあり、平成25年の世帯当たりの保有台数は0・46台。特に浜田山周辺は交通の便が良いこともあってか、多くのユーザーがベンツやポルシェ、BMWなどの輸入車に乗っている。

 タイヤステーション浜田山では、軽自動車用タイヤが出ることはほとんどないそうだ。

 「客単価が高いのでそこが強みなのかなと思います。その分、クルマの取り扱いには細心の注意を払わないといけないので、新しく従業員を雇おうと思ってもどうしても業界未経験者は採用しづらい面があります。父と自分を含めて作業スタッフ4名でお店を年中無休で回しているので、ここ数年まともに営業ができていない。あと、最近の悩みと言えば、メーカーさんにはもっと儲けさせてほしいですね……(笑)」

 

今後の目標

 

 最後に鈴木さんに今後の目標を聞いた。

 「10~20年後のことを考えると不安ですね……(笑)中学生の長男が「お店継ぐ」なんて言っていますけど、まだ中学生ですから、ころころ変わるだろうし。ただ、自分の子どもが継いでも恥ずかしくないようなお店にはしておきたいですね。それまではしっかりお店を守っていこうと思います」

 

まとめ

 

 取材後、創業者でもあり、鈴木さんの父でもある陸夫(みちお)さんが帰ってきたので、少しお話をした。陸夫さんは大腸がんを患っていたが、奇跡的な回復を遂げ、82歳の今でも現役でお店を手伝っている。

 陸夫さんと話していて分かったのは鈴木さんの大らかさは父親譲りだということだ。「喧嘩はしないんですか?」という質問に、二人は照れくさそうに「ない」と答えた。

 中学生の息子さんが「お店を継ぐ」と言ったのは、そんな父親の背中を見て考えたことだったのだろうと感じた。

 

店舗概要

 

▽代表取締役…鈴木孝宜(48)

▽住所…東京都杉並区浜田山4-10-12

▽TEL…03-3312-5587

▽FAX…03-3316-4647

▽創業年…1962年

▽主に取り扱うタイヤ…PC用60%、LT用30%、TB用10%

▽主な取引先…法人80%、小売20%

▽従業員数…4名

▽休日…盆、正月を除き年中無休

▽営業時間…9時~19時(日曜・祝日は10時~18時)

▽主に取り扱うブランド…ブリヂストン

▽紹介…東京都杉並区の中西部に位置する浜田山で店を構える、創業54年の地域密着型のタイヤ専業店。時代と共に移り行く街の変化に柔軟に対応しながら、地域住民とのコミュニケーションは決しておろそかにせず、今日の信頼関係を築き上げてきた。近辺に点在するカーディーラーとも取り引きがあり、保有台数が少ない地域ではあるものの、安定した業績をキープしている。