※この記事は2015年7月27日付のタイヤ新報に掲載されたものです。

 

はじめに

 

 三重県の四日市には、内部(うつべ)線というローカル線がある。今回訪れたお店は、同線最南端の「内部駅」前にある「タイヤショップ車伝(くるまでん)」。代表取締役を務める松林壹緒(いつお)氏は4代目になる。

 戦前は、四日市の中心街にお店をかまえ、港で一輪の手押し車(ネコ車)の修理などを行っていたが、空襲で焼け出され現在の内部駅前に移転。3代目までは内部川での砂利採取に使われる牛車の作成・修理等を行っていた。しかし、モーターリゼーションの波とともに牛車がトラックになり、牛車の修理工もトラックの修理工になった次第だ。

 『父の代まではタイヤショップというより鍛冶屋に近かったですね。車修理のついでにタイヤ交換もやるというスタイルでしたが、私の代からタイヤをメインに扱うようになりました』

 

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お店は「内部駅」のすぐ前

 

若いスタッフの働き

 

 同社はTB・LT・ORが中心だが、PCの持ち込みにも時間が空いているときは対応している。

 『うちに一人若いスタッフがいるんですけど、この子がいい子でね。うまく時間を見つけては、何でもやってくれるんですよ。私なんかには余計な愛想はふりまかないんですけど、お客様相手にはニコニコしている。でもそうでなくっちゃいけませんよね』

 確かに、仕事の目線が上司に一番向いている人もいる。社内適応度は高いのだろうがなんかイヤ。その若いスタッフの働きぶりは、テキパキしていて見ていて気持ちがよかった。しかもイケメンだ。

 

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左から2番目が松林代表。中央が働き者のスタッフ

 

リトレッドの扱い慎重に

 

 さて、昨今、環境の面からもリトレッドが注目されているが、車伝ではどう扱っているのであろうか?

 『うちのお客様はダンプが多いんですけど、ダンプはタイヤにかかる負荷が多いのでなるべく新品をオススメしてしてますね。ドライバーがタイヤの知識を持っている方なら販売します。「この人なら、いいところで交換してくれるだろうな」って信頼できる方。でも、残溝ギリギリまで使う方もいるので、販売するのが怖い時もあるんです』

 自家整備でリトレッドTBを交換しようというユーザーには特に販売を控えているそうだ。

 『自家整備をしている方は安全囲いを持っていないケースもあると思うんです。万が一何かあったとき、TBは本当に危険ですから基本は販売したくありません。「あそこはリトレッド売らない」なんて言われているかもしれないけど、しょうがありませんね』

 売り手がお客を選ぶ。ある意味、傲慢なことかもしれないが、こういうところこそ専業店の良心だと思う。販売した方が売上にもなるし、ユーザーも満足するかもしれないが、自分の経験上よろしくないと思っていることはしない。「ならぬことはならぬもの」とでも言おうか、「自分の頭で考えた自分なりの基準」を持っている専業店はステキだ。

 

トラックドライバーのタイヤへの意識

 

 ところで、最近のトラックドライバーのタイヤに対する意識は高いのであろうか、低いのであろうか?

 『私は低くなってきている気がしますね。トラックもタイヤも昔に比べてよくなってきたからなのか、乗用車と同じ感覚で乗っている方もいる気がします。ほら、タイヤを蹴って空気圧を確認しているトラックドライバーって最近見かけない気がしませんか?』

 そういえば、「タイヤを蹴っているおじさん」の図は思い浮かぶが、実際は最近見ていない。あの「おじさん」はどこにいったのだろうか?

 『まあ、タイヤ業界そのものはよくなってきていると思います。昔に比べたら直送供給が多くなって、古いタイヤを扱うことも減りました。

 他にもコンプライアンスが浸透してナアナアが減ったと思います。ナアナアもいい面はあるんですけど、私はキッチリしている方が好きですね』

 

まとめ

 

 最後に、今後の目標を聞くと、

 『特にないです。まじめにコツコツやるだけです』

 と答えた松林代表。格好つけない人が一番格好いい。これからも「町のタイヤ屋」さんとして業界の安全を地道に支えて欲しいと思った。(荒川三郎)

 

店舗概要

 

▽代表取締役 松林壹緒(まつばやしいつお・56)

▽住所 〒510-0958 三重県四日市市小古曽3丁目5-30

▽TEL/FAX 059-345-3955/3956

▽URL http://kurumaden.com/

※取扱い車種は一輪車、軽四、乗用車、トラック、リフト、タイヤショベル。他にも出張交換、スタッドレスの保管サービスなども行っている