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こんにちは。RK通信社の荒川です。
「ブログは更新を続けなければ意味がない」
とよく聞きます。
だから何はともあれ書きましょう。
 
 
今回も、映画のレビューです。
 
10月25日に公開された
書きたいと思います。
 
 
好きな人を好きと言えない環境
 
【画像】好きな人を好きと言えない環境
 
学生のころよく仲間同士で、
意中の異性を言い合ったりしませんでしたか?
その時、本当に好きな人の名前を
挙げられないことってよくあると思うんです。
 
周りから
 
「え~、お前あんな奴好きなの~?」
 
ってバカにされるはすごく怖い。
 
 
異性でさえこうなのだから、
もし自分が同性愛者だったら
本当のことはなおさら言えません。
 
それ以前に同性愛者であることすら隠すでしょう。
 
主人公のトムはゲイです。 
 
 
物語は、
トムが交通事故で死んだ恋人(もちろん男性)の
実家を訪れるシーンから始まります。
 
実家は農場で、
母親と兄のフランシスの二人暮らしです 。
トムは家族に会って初めて、女性の恋人がいる、と
家族に対して嘘をついていたと知ります。  
 
 
ちなみに舞台はカナダのケベック州です  
ケベック州は昔フランスの植民地で、
今でも公用語はフランス語です。
 
農業がさかんな所で、宗教はカトリックです。
カトリックにとって同性愛は罪深い行為なので、
ゲイに対する偏見も強い地域でしょう。
 
 
「陸の孤島」で暴力による支配
 
【画像】「陸の孤島」で暴力による支配
 
フランシスは直感で
トムが弟の恋人だったことを見抜きます。
そして、悲しみに暮れる母親を慰めるよう
農場に残ることを強要します。  
 
農場は町から遠く離れたケータイの電波も
つながらない「陸の孤島」
 
 
フランシスは粗野で暴力的なことを「男らしい」と
勘違いしている獰猛な男として描かれます。
 
過去に何か事件を起こしたらしく、
町の者たちもフランシスに近寄ろうとしません。  
 
当然、トムは何度か脱出を図りますが、
フランシスの妨害などにあい滞在を余儀なくされます。
 
 
あわれなフランシス
 
【画像】あわれなフランシス
 
僕が映画の中で
一番印象に残ったのがこのフランシスでした。
 
フランシスは、
 
「田舎から抜け出したいが、
母親が足かせになってできない」
 
と言います。  
 
でもこれは、半分本当で半分嘘です。
 
田舎を出たいと強く望むなら
農場を売り払って、
その金で母親と一緒に出ればいいのです。
 
そうしないのは外の世界で
やっていく自信がないからです。
 
フランシスはトムに嘘を強要するだけでなく、 
自分にも嘘をついているのです。 
 
彼は心のどこかでそれに気づいているから、
だらしなく酒を飲み、だらしなくコカインを吸引し、
現実から逃れようとします。  
 
 
ラストシーンで立ち尽くす
フランシスの背中を
カメラがとらえるのですが、
 
そのジャンパーの柄が
なんとも「ダサ悲しい」のです。
 
自由への憧れから
あのジャンパーを選んだでしょうか。
フランシスが酔っ払った時、
 
「おれも昔は
ブイブイ言わせて
女にモテたもんだ」
 
と切ない自慢をするシーンがありますが、
あのジャンパーを身につける感性では
センスのいい女性には相手にされないでしょう。  
 
弱みを見せられない 
マッチョイズム的な 
男の悲しさを体現した人間 
 
僕はフランシスにそういう印象を受けました。
 
 
少女漫画好きはもっと楽しめる?
 
【画像】少女漫画好きはもっと楽しめる?
 
公式サイトでは、
本作は「愛のサイコサスペンス」と
形容されています。
 
 
トムとフランシスの間は、
ただ反発しあうだけのものではなく、
もっと複雑な関係です。
 
フランシスは潜在的なゲイかもしれませんし、
トムもフランシスに暴力をふるわれながらも
どこかでひかれているかもしれません。  
 
だからそういう男女(ではないけど)の
愛憎的なストーリーが好きな人は
もっとこの映画を楽しめると思います。
 
たとえば
少女漫画のボーイズラブなどが好きな人です。  
僕はバリバリの少年漫画好きなので、
この映画の「サイコサスペンス」の部分しか
楽しめてないでしょう。
 
 
それだけでも十分面白いのですから、
 
サスペンスと少女漫画が好きな人は 
もっと楽しめる映画だと思います。 
 
 
最後になりましたが、本作は
ベネチア映画祭で
国際批評家連盟賞を受賞しています。
 
主演のグザヴィエ・ドランさんは、
監督・脚本・編集・衣装も兼任しているのに、
まだ25歳だそうです。
 
「若き天才」という言葉がピッタリですね。
 
 
トム・アット・ザ・ファーム 
2013年/カナダ=フランス/102分/フランス語
監督・脚本・編集・衣装 ― グザヴィエ・ドラン 
原作・脚本 ― ミシェル・マルク・ブシャール
音楽 ― ガブリエル・ヤレド

出演 ― グザヴィエ・ドラン

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