こんにちは! RK通信社の荒川です。
 
今回は10月17日に公開された
映画 『誰よりも狙われた男』
レビューを書いてみようと思います。
 
タイヤや自動車と一切関係ありません。
 
完全に自分の趣味です。
でも、休日に書いているからいいのです! 
 
というわけで自己満足な
「ジコマン・シネマレビュー」を始めます。
映画好きな方は興味があれば…
 
「テロ犯」は泳がせろ!
 
テロ犯は泳がせろ!
 
たとえば、あなたがテロ対策班のリーダーだったとします。
そして、日本に「テロ犯」らしき男が密入国したとします。
 
あなたはその情報をいち早くキャッチし、居場所を確定しました。
 
次にあなたはどうしますか?
 
・すぐさま拘束する
というのが、まず思いつく選択でしょう。
しかし、もう一つ選択肢があります。
 
それは、
・わざと泳がせて、もっと大物を釣り上げる
というものです。
 
この物語の主人公は後者を選択します。
 
密入国した「イスラム過激派」の青年
 
 
舞台はドイツのハンブルク。
物語は、海からズブぬれで
港のハシゴを上ってくる青年のシーンで幕をあけます。
 
青年は「イスラム過激派」として国際指名手配中の男です。
対する、主人公はドイツの対テロ対策班のリーダー。
青年の存在に気づき、居場所も突き止めます。
 
しかし、先ほど言ったとおり主人公は拘束しません。
わざと泳がせてそいつを情報源にしようとするのです。
 
からみあう思惑
 
絡み合う思惑
 
この物語が複雑なのは、
「テロ対策班VSテロ犯」という
単純な構図で物語が進まないところです。
 
主人公と青年の他にも
青年を支援する 人権派の女性弁護士
青年の 隠し財産を預かる銀行マン
青年の拘束を望む アメリカのCIA
などなど、
多くの人物が登場して、
さまざまな立場と思惑が交錯します。
 
しかも、
主人公の本当の意図は
物語の中盤に明かされるので、
集中して観ないと
「結局、物語の焦点はどこだったの?」
という感想になる人も多い、と思います。
 
利用して、釣り上げる
 
 
物語の焦点は冒頭に挙げた、
わざと泳がせて大物を釣り上げる
という構図です。
 
主人公は、多くの人物と対立しますが、なだめすかし、
時には脅して自分の協力者に引き込もうとします。
 
小物を利用して、中物を釣り上げる。
中物を利用して、大物を釣り上げる。
 
複雑に変化する話の筋も、
この構図はブレません。  
 
彼がどうやって他人を懐柔するのか。
その心理的なカケ引きが
この映画の大きな見どころでしょう。
 
「フィリップ・S・ホフマン」って誰?
 
 
最後に、主人公演じる
「フィリップ・シーモア・ホフマン」
という俳優について書きます。
映画界ではかなり有名な俳優です。
 
2005年に『カポーティ』でアカデミー主演男優賞、
2012年には『ザ・マスター』で
ベネチア映画祭の男優賞を獲得しています。
 
映画評論家の森直人さんが、
 
理想を追い求めすぎた 
ワーカーホリックの主人公に 
フィリップの姿が重なった
 
と評しています。
簡潔かつ見事に主人公とフィリップの共通点を表しています。  
 
主人公はターゲットを利用しますが、
それも平和という理想のためです。
 
しかし、人を利用している現実に
彼は大きなストレスを感じます。
 
「協力者は保護する」という哲学も持っていますが、
協力者がテロ犯たちにバレて殺された
という過去の失敗にさいなまれてもいます。
 
その理想と現実に引き裂かれ、
彼は酒とタバコにかなり依存するようになりました。
 
名優フィリップも演技に対して
あまりに完全主義だったのでしょう。
 
酒とドラッグにおぼれ、何度も治療を受け、
今年の2月に薬物の過剰摂取で亡くなりました。
 
自宅からは大量のヘロインと注射器が発見されたそうです。
 
今回の映画でも、(素人目ですが)いい演技だと思いました。
 
小太りで七三の白髪なのでヒゲを生やし、
メガネをかけるとまるでケンタッキーおじさんです。
 
そんな彼が映画の主役なのですから
その演技のうまさは、推して知るべし、でしょう。
 
たいてい夜のシーンですし(昼は出ても曇りがち)、
カタルシスもない暗~い映画なのですが、
プロフェッショナルたちの
心理戦が好きな人は楽しめると思います。
 
(原題 A MOST WANTED MAN 122分/米)
 
 

■スタッフ

監督 アントン・コービン

製作

・スティーブン・コーンウェル
・ゲイル・イーガン
・マルテ・グルナート
・サイモン・コーンウェル
 
■キャスト
・フィリップ・シーモア・ホフマン
・ レイチェル・マクアダムス
・ウィレム・デフォー
・ロビン・ライト
・グレゴリー・ドブリギン