なぜ本屋さん?

 

本棚

 

突然ですが、皆さんは新品書籍をどこで購入していますか? 最寄りの書店? それともネット通販? 「電子書籍だよ」という人もいるかもしれないですね。

 

今回は、町の本屋さんの取材をお届けします。東京都書店商業組合 青年部部長 小川頼之氏にインタビューをしてまいりました。

 

なぜ本屋さんかというと…タイヤとの関連性は低いですが、書店もインターネット通販の影響で厳しい局面に立たされており、タイヤ専業店とリンクする課題は多いと感じたからです。

 

そんな書店の方々の活動から学べることもきっと多いはず…!

 

他業種ならではの違いも意識しながらお楽しみくださいませ。

 

 

はじめに

 

インタビューに協力してくれた小川氏は、東京都港区にある㈲小川書店を代表取締役として経営しているそうです。ちなみに小川書店は、創業が1920年という老舗。

小川氏には、タイヤ業界の現状を伝えた上で、書店業界の問題を語ってもらいました。

 

 

厳しすぎる書店業界

 

小川頼之氏

   小川頼之さん(51歳)

 

―書籍の小売はネット通販や電子書籍の登場で競争が激しいイメージがありますが実際はどうなんでしょう?

 

『ボロボロです。実際問題、食べられないですね。うちの場合、土地が自分の不動産で家賃ゼロだからなんとかやっていますが…』

 

―紀伊國屋などのチェーンはどうして生き残れているんですか?

 

『簡単に言えば、出版社から安く仕入れて利幅を確保しているんですよね。中小のお店ではそれも出来ない』

 

―自分で土地を持っていないとお店を続けるのは難しいですか?

 

『駅前に安い家賃で店舗を持たない限りは難しいでしょう。事実上、無理という時代に入ってきている。不動産を別に持っていて、そこの収入を書店に注ぎ込んでマイナスを相殺して生活している人がいるぐらいなので』

 

―新規の出店もない状態ですか?

 

『ここ10年はゼロ。組合の書店もみんな自分の不動産を持っています。あとは図書館などの行政機関に書籍を入れて需要をギリギリで取り込んでいるところがあるぐらいです』

 

 

タイヤ業界と比べると…?

 

―想像以上に厳しい業界ですね

 

『タイヤ専業店のお話を聞いていると、タイヤ交換をする技術という付加価値が残されている分、まだやりようがある感じがしますね。本屋は本を売るしかないから(笑)』

 

―ただ、タイヤ業界も国内の需要が減っていくことに対して危機感があるんですよ

 

『確かに。タイヤは必需品だし、クルマがある限り需要は無くならないけど、国内の保有台数が減れば、取り合うパイもどんどん減るわけですもんね』

 

―そうなんですよ

 

『その点、書籍はまだ良いと言えるのかもしれませんね。書籍は必需品ではないですが、いつでも欲しいと思える嗜好品だから、新しいパイが作れる』

 

―「新しいパイが作れる」というのは?

 

『タイヤが減っていないのに新しいタイヤを欲しがる人っていないじゃないですか。それに比べて本はいつでも家に置いておきたいものですよね。その点で新しい需要を喚起しやすいと言えるんじゃないでしょうか』

 

 

実売店の需要とは?

 

平積みされている本

   店内の様子

 

―実際に書店で買うお客様にはどんな方が多いんですか?

 

『インターネットができないお年寄りや、フラッと立ち寄る人、電車で読む本がなくなったサラリーマンも多いですね。実際に本に触れて立ち読みができるのもポイントです。そういうニーズが辛うじてあります。実際にお店があって本に囲まれている空間が需要を喚起させるんですよ』

 

―お店で何か具体的な取り組みなどはやっているんですか?

 

『自分の署名で本をオススメしていますね。人は結局、本の表紙ではなく「人」に影響されるので、「あの人が面白いっていうなら読んでみようかな」という気持ちが生まれてくると思っています』

 

―接客ではどのような工夫を?

 

『来店された方に親身に接することです。欲しい本の在庫がない場合は、自宅まで無料で届けますし、その場で私が近くのお店に行って買ってくることもあります』

 

 

組合の活動について

 

―書店組合ではどのような活動を?

 

『みんなで協力しないとできないことをやっています。最近では青年部のホームページをリニューアルしました』

 

―このサイトではどんなことができるんですか?

 

『一般ユーザー向けに全国の書店の在庫データを共有して検索できるサービスを始めました。ここで探してどうしてもなければ最後はネット通販を見てください、と。おかげでアクセス数も伸びて、広告収入も頂けるようにもなりました。書籍の名前をクリックすると、取次の東販が運営する「e―hon」という通販サイトに移動するようになっています。その分の広告収入を頂いているんですよ』

 

読みたい本のタイトルを検索すると全国の書店の在庫状況が表示される

   読みたい本のタイトルを検索するとマップ上に書店の所在地と在庫状況が表示される

 

―ではネット通販のサイトと提携しているということですか?

 

『そうですね。実売店とネットで組んで柔軟に活動を展開しています』

 

 

「本が好きだから」

 

手作りのポップも

   店内のポップも工夫されている

 

―最後に、単刀直入な聞き方になりますが、このように厳しい状況下でどうして書店を続けられるのか、その理由をお聞かせください

 

『本が好きだからですね。検索サイトを作ったのもやはり本を売りたいという情熱からです。思い入れがあるだけに組合の活動も協力的に参加される方が多いですよ。本屋は成功を目指しているわけではなく、好きだからやっているんですよ』

 

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

 

まさに厳しい状況にある書店組合の活動には、それだけに新鮮味がありましたね。

 

例えばジャストアイディアですが、全国のタイヤ専業店の在庫状況をスムーズに検索できるポータルサイトが立ち上がれば、エンドユーザーと専業店の距離もグッと縮まるのではないでしょうか? また、自分の署名で本をオススメするというアイディアも参考になるかもしれません。「店主のオススメ!」というポップがあればそれだけ訴求力も出てくると思うのです。

 

国内需要の先細りが叫ばれている今、専業店、メーカー、組合、メディア、それぞれにできることをもう一度、フラットな立ち位置で自由に発想していくことが大切なのではないか…そんなことを考えさせられたのでした。

 

それではまた!